文化から環境を考える
鈴木結人
はじめに
本講義を通して、そして本講義フィールドワークを通して私は様々なことを学びました。そもそも最初は講義名から教育分野に関する講義だと勘違いしたことから本講義を受講するに至りました。そういった意味で環境分野が主な講義内容だと知り、少し落胆したことを覚えております。しかし、先生方のお話、フィールドワークという体験、新しい場所で出会った様々な人たちとのつながりを通して、受講したことを今では良かったと思っております。全3回のフィールドワークの内2回のみ参加しましたが、その2回のフィールドワークを今回振り返ろうと思います。
小川町
本講義で一番初めに行ったフィールド先である小川町、そしてそこで出会った金子さんとのお話合いは私の中にあった観念を完全に変えました。小川町フィールドワークに行く前は、正直申し上げるとあまり興味は沸いていませんでした。以前違う講義で行ったフィールドワークがあまり興味深くなく、フィールドワークはつまらないものであるという固定概念が自身の中にあったからだと思います。そういった意味で「単位のためだし行くか」という気持ちでしか最初は参加していなかったと思います。しかし、金子さんの農場での作業や、農場見学時の金子さんのお話は非常に興味深く、聞き入ってしまったことを覚えています。この時金子さんの生き方というものを目視したことで、事前に金子さんのことは調べていましたが、「こんな生き方している人間がこの世にいるのか!!?」とびっくりしてしまったのと同時に、少し憧れました。そして、ホテルで金子さんたちとのディベート(?)をして、私自身この方々と同じように環境のために何かできるのではないか、そしてこういった方々の手助けをできるような人間になっていきたいと深く思い始めました。この経験が私自身の中で今後なにをしていきたいかという指針になっていったと思います。私の中にあった人とのつながりに対する希薄化していた考えが、この体験を通して大きく変わったと思っています。人と人とのつながりの重要性、そしてその輪を大きくしていきたいという思いはここから始まったと思います。そうした意味で、私自身の成長の始まりはここからだったのではないかと今では思います。そして、この時から日に日に社会問題を解決したい、誰かのためになにかしてみたいという考え方が大きくなりました。
河内村
河内村でのワインプロジェクトの見学も私の中にある価値観を大きく変えてくれたと思っています。震災後、初めて福島県を訪れました。テレビやメディアを通じて福島県の復興や現状について知っていたつもりでした。しかし、いざ行ってみて本当の“現状”を目撃すると、私が知っていたことはあくまで表面的なことであり、知っていた“つもり”の域を超えていなかったということを知りました。震災時は中国におり、私自身は地震を経験しませんでしたが、それでも中国から出来ることはないかと日本人コミュニティーでチャリティーをしました。それ自体は褒められることなのかもしれませんが、上述したとおり、今振り返ってみると自分自身は表面的にしかそこにかかわっていなかったのだと思い至りました。それが証拠に日本に帰ってきてからは主体的に震災ボランティアにかかわろうと思っていなかったからです。今回、(よくメディアで取りだたされている)脱原発派ではなく、原発で働いていた側の生の声を聞いたことで自分の中にあった考え方が180度変わったと思います。そして、原発地域の現状を目撃したことで、国内にもまだまだこんなに問題は山積みなのかと真剣に考えさせられました。私自身は元々発展途上国の貧困問題というに興味があったので、国内にはあまり目を向けていなかったのですが、この時から国内の問題を第一に解決しなくてはという思いに至ったと思います。そして、国内の問題をクリアしてから海外の問題を解決していきたいと思っています。そのために何をしなくてはいけないかという方法論を現在模索中です。
おわりに
皆様が我々のために使ってくださった貴重なお時間、そして先生方の助力の上に、本フィールドワークは実現したと思っております。皆様の存在なくして、私が経験したこと、そして私が得た価値というものはなかったでしょう。本当に皆様には感謝しかないと思っております。私が今心の中で描いている世界は「人々が平等に挑戦できる社会」の実現です。本講義、本フィールドワークという貴重な経験が、私の上述した夢を気づかせてくれたと思っております。そういった意味で、今後本講義で得られた人たちとの貴重な出会いを今後とも大切にし、皆様が私に与えてくださったものを今回であった人々に、そしてそれ以外の大勢の方々に還元していきたいと真に思っております。今回かかわってくださった皆様のご支援ご協力には、ただただ感謝いたしております。そして、心よりの感謝を申し上げたいと思います。