2016年講座の総括
今後の展望
2016年9月30日~2017年1月27日の期間、寄附講座「文化から環境を考える」を早稲田大学留学センター設置科目として開講しました。3回のフィールドワークを含む全15講座の内容および各学生のフィードバックについては各記事を参照ください。
今期が本講座のはじめての開講となりますが、今期得た今後の展望について雑感を記すことをお許し願いたいと思います。
まず、受講者人数について。今期は小川町フィールドワークに国費留学生8名が参加しましたが、通期では計8名の受講者でした。本講座はフィールドワークの実践活動とその事前学習および事後のフィードバックに主眼を置いており、「講義形式」よりも「対話形式」により学びを深めていく講座です。各学生一人ひとりの思考を高めるため、また半年という短い期間で学習効果を深めるためには、講座外でのコミュニケーションも重要になります。当初は想定していた受講者よりも少なく感じましたが、講座内容を振り返ると適正人数に感じました。8名の学生と時間を共有し、各人の成長を目の当たりにし、「量」よりも「質」の重要性を強く実感しました。次年度開講の際、国費留学生8名が必修講座になることを前提においても、最大で計15~20名に制限し、講座を展開することが望ましいと思っています。学生の成長度合いをはかる明確な「ものさし」はないかもしれませんが、各人が本講座から得た知見を社会に還元することを長い目で見守りたいと考えています。
本講座の特徴を「対話形式」と述べましたが、本講座を早稲田大学で数多く開講されている「一講座」にとどめることなく、「ゼミナール」のような永年つづく「対話の場」にしたいと考えています。半年開講ではなく通年開講になれば、学生と共有する時間も密になり、より一層対話の幅がひろがります。また、学生の交流を横軸だけではなく、縦軸に糸を紡いでいく重要性も感じています。講座の蓄積を講座担当者が伝承してくだけではなく、各受講者が先達として後継へバトンを渡して欲しいと思っています。それには各人が交流を続けるだけではなく、交流の場となるようなプラットフォーム、また、「一講座」に終わらせないような意識を傾注させる仕組みづくりが必要と考えています。「長い目で見守る」ためにも必要です。これは講座に関わったすべての人の財産になると思います。
ではどのようにすればいいのか。講座終了時にシンポジウムなどを催し、集える「場」を設定することも重要です。また常時つながる「場」として、Web/SNS上に交流の場を設けたいと思います。Web構築はフィールドワーク・環境教育の方法論の一助になればとも思っています。計画段階ではありますが、フィールドワークの様子をWeb上で中継、画像共有サイトInstagram/Pinterestで公開するといったことも一案です。これは「見える化」することにより、フィールドワーク時の成果を高めることも視野に入れています。また、公開するということは責任をともないますので、倫理観を養います。
フィールドワーク場所について。今期は埼玉県小川町、山形県高畠町、北海道釧路市・標茶町・阿寒町、福島県郡山市・川内村で実施しました。次年度も今年度と同様の場所で実施する可能性もありますが、新たなフィールド開発にもつとめたいと思います。また、予算・期間・安全面など考慮しなければなりませんが、海外フィールドワークの可能性も探りたいと思っています。「文化」「環境」をキーワードで考えたとき、国内にとどまらず海外において客観的な視点を養うことも必要と考えています。
次年度後期の開講にむけて、フィールド開発、Web構築、テキスト作成に時間を費やしたいと思います。ありがとうございました。
吉川成美
礒貝日月